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ほのぼの○○……
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卒業証書を抱いたカサの波にまぎれながら……

ひろみ「ぐすっ、ぐすっ、うわああああ……」
よしみ「いつまで泣いてんだよ」
ひろみ「だって、この中学ときょうでお別れだと思うと……わあああ……」
よしみ「おおげさな。加茂とか三輪とか仲良し連中とは高校でも一緒だろ」
ひろみ「でも書道部のほとんどがバラバラなのよ……わたしの心もばらばら」
よしみ「……ひろみ、えーと、云っておくことがある」
ひろみ「なに、改まって、よしみん……」
よしみ「じつは、わたしは鈴里高校には行かない」
ひろみ「うそっ。一緒に受かったじゃない!」
よしみ「鵠沼にいくことにしたんだ。黙ってたのは謝る」
ひろみ「どうしてっ? わたしが嫌いになったの?」
よしみ「そういうわけじゃない……」
ひろみ「ああ、加茂ちゃんや三輪ちゃんと馬が合わないから?」
よしみ「それは否定しないけど……ひろみ、じつはなぁ、鈴里は……」
ひろみ「わたし、心がはりさけて、もうダメ……」
よしみ「わあっ! ひろみ、しっかりしろ! だれか救急車ー!!」

一か月後……

日野「いったいどこなのかしら、書道部の部室……」
加茂「おーい、日野ちゃん」
三輪「ヤバいことわかったよー」
日野「どうしたの?」
加茂「この高校、書道部がないんだって」
日野「うそーん!?」

ニューウェーブ書道コミック、ほっこりとめはね……
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望月「おはよー」
大江「あ、おはよう……今朝はこれまた、ずいぶん着こんでるね」
望月「だって寒いじゃない」
大江「もうすぐ桜の季節だっていうのに……いったい何枚着てるの?」
望月「下着にババシャツ、制服、ジャージ、柔道着、コート、マフラー、サポーター……」
大江「平安時代の十二単ですか?」
望月「寒いの苦手なの。冬の柔道場なんて地獄よ、地獄」
大江「ぼくは平気」
望月「あんた何枚来てるのよ」
大江「Tシャツと制服だけ」
望月「ばっかじゃないの?」
大江「プリンスエドワード島にくらべたら鎌倉はハワイみたいなもんだよ」
望月「ああ……なるほどね」
大江「それに、北海道網走からはじまって、アラスカ、ベーリング海峡、北大西洋……」
望月「聞いてるだけで鳥肌たってきた」
大江「クジラを追っかけて南氷洋にいったこともあるし、
   父さんなんてロシアの軍船に拿捕されたこともあるよ」
望月「まるで世界の果てまで行ってQね」
大江「おま、なんでだよ、よせよー(ボビーオロゴンのまね)」
望月「……」
大江「……」
望月「……ああ、大江くんのギャグが寒いのはスジ金入りってわけね……」

ほのぼのとめはね……

加茂「おい、ゆかり、忘れてないだろうな、きょうは……」
大江「はいはいわかってますよ。お返しでしょ」
三輪「あらー、義理だったから気をつかわなくていいのにぃ」
大江(といいつつ受けとりはするんだよな……)
加茂「なんだこれ? 500円ぐらいか? ショッボイの」
大江「バレンタインにチロルチョコだったひとのセリフですか!?」
三輪「ゴディバか。ゆかりちゃんにしてはまあまあのチョイスね」
大江「ありがとうございます」
日野「こっちの大きな包みはなに?」
大江「わー! そっちは先輩たちのじゃないから、開けないでください!」
三人「……」
大江「な、なんですか、不気味にしずまりかえって」
加茂「残念だったな、ゆかり……きょうは金曜日」
三輪「あなたの本命は、いまごろほかの男と乱取りでもやってるころよ」
日野「大江くん、恋の内股、大すかし……ってとこね」
大江「そ、そんなぁ……」

ガラガラっ

望月「こんちわーす」
加茂「あれっ、うわさをすればなんとやら?」
望月「黒いうわさじゃないでしょうね。あー重かった。ハイこれどうぞ!」

ドサドサっ

日野「うわー!! これ全部ホワイトデー?」
三輪「すごい量ね……100個は下らない?」
加茂「さすが学園のマドンナは違うな」
大江「マドンナって死語ですよ、先輩……」

三人娘(それにしても負けた……ガクリ)

望月「内訳はですね、柔道部と、となりの剣道部と、クラスの男連中と、となりのクラスの……」
加茂「もういいよ」
三輪「明らかにバレンタインでくばったチョコの数を上回ってない?」
望月「一人じゃ食べきれないし、それに減量しなきゃいけないので、書道部で食べてください」
日野「ありがとう、望月さん」
三輪「男どもにとっては哀れねー……」
加茂「哀れといえば、もうひとりお返しを渡そうとしているヤツがいるぞ、ひひひ」
大江「わー! 云わないでくださいよ。ごく自然に渡そうと思っていたのに」
加茂「どうやってあの巨大な包みを自然にわたせるというのだ」
望月「え、大江くんからホワイトデーもらえるの? 超うれしいんだけど」
大江「ほ、ほんとに?」
望月「だってチカラいれて作ったもん! バレンタインのチョコ、大江くんと勅使河原くんの分」
大江(勅使河原くんにも上げてたのか……)
望月「あれ、へんなこと云った?」
大江「いや、大丈夫……」

三人娘(あたしらは遠くにはなれて見守ってようかのぅ……)

望月「で、わたしにくれるのってコレ? すごデカ。開けていい?」
大江「うん、どうぞ」
望月「ぬいぐるみだ! 白い! 大きくてフカフカだ!」
大江「ごめん、トイザらスでそのサイズしかなかったんだ(うそ)……ピースみたいだろ」
望月「ほんとだ、似てるよ、ワホワホ!」
大江(よかったら……ぼくだと思って……夜いっしょに寝てくれちゃったりなんかして……)
望月「ちょうど部屋にこういうの欲しかったんだよね。ありがとう」
大江「えっ、ほんとに!?」
望月「打ちこみの練習用にさ。——そりゃあ背負い! わー、ぴったりだ」
大江「だ……ダミー山下……」

ほのぼのとめはね……

よしみ「……はあ……はあ……あふっ」

ひろみ「よしみー、いるの?」
よしみ「わあっ! ノックもせずにひとの部屋に入ってくるな!」
ひろみ「……」
よしみ「……」
ひろみ「暑いの?」
よしみ「なんで?」
ひろみ「だって下着を半脱ぎしてるし、顔も上気してるし……」
よしみ「そういうワケでは……」
ひろみ「……」
よしみ「……」
ひろみ「……ああ、オナってたの」
よしみ「あっけらかんと云うな!」
ひろみ「わー! よしみってどうやんの? 興味津々」
よしみ「子供は知らなくていいんだ!」
ひろみ「まったくの同い年なんですけど……えっ、もしかしてこの筆を使ってるの?」
よしみ「まあな、この柔らかい穂先で……こことか……アンっ……ここを……はぁはぁ」
ひろみ「もうやめてよ、よしみっ」
よしみ「……ひろみ」
ひろみ「大切な書の道具をそんなふうに使うなんて、間違ってるよ、最低っ!」
よしみ「……そうか……そうだな……最低だ、わたし……」
ひろみ「筆はこうやって逆にもってズボズボってやると気持ちいいんだから!」
よしみ「なんでそんなにすんなり入るんだよ!?」

素敵なホワイトデーを……もっこりとめはね……

勅使「……部長」
日野「なんだ」
勅使「合宿のときは、うまいこと鈴里の連中をはめてやりましたね」
日野「まあな」
勅使「いまごろ時間との戦いに焦りまくってるでしょう……くすくす」
日野「ぎりぎりまで甲子園の件は伏せておいたからな」
勅使「もうこれで連中の夏休みはパアですね」
日野「加茂と三輪もバイトなんてしてる場合じゃないだろう。いい気味だ」
勅使「部長はホントあのふたりのこととなると目の色が変わりますね」
日野「ふふん……。おまえこそ、あのトロそうな男子部員にずいぶん粘着してるじゃないか」
勅使「望月結紀の周辺から、邪魔な虫けらを排除しようとしてるだけですよ、慎重にね」
日野「ははあん、それで一年の新人女子を急に連中のとこへ差しむけたわけだな」
勅使「さすが部長、ぼくの策などお見通しですね」
日野「しかしウマくいくかな。あのトロ男子、そうとう奥手っぽいぞ」
勅使「既成事実をつくってしまえば、こっちのものです」
日野「よし。尻尾をつかまれないよう、うまくヤレよ」
勅使「お任せください……」

副部長以下ほかの部員たち。
(まーた、ふたりでヒソヒソやってるよ)
(仲いいよね、あのふたり……)
(つきあってんじゃね?)

ほのぼのとめはね……
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