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ほのぼの○○……
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加茂「こんちわー……って、ずいぶん過疎ッてるな、きょうの部室」
大江「あ、こんにちは、加茂先輩」
加茂「ゆかりだけ?」
大江「望月さんは柔道部の日で、三輪センパイはバイトの面接だとか……」
加茂「日野ちゃんはさすがに遅れてるだけだよな?」
大江「部長さんは、妹さんが高熱を出されたそうで、その看病のため急いで帰りました」
加茂「うへー、まじかよ。わたしも帰ろうかなぁ〜」
大江「ぼくは練習していきます……」
加茂「優等生だなあ、しょうがない、ちょっくら付きあうか……」

大江「……」
加茂「……なに書いてんだ、ゆかりは」
大江「雁塔聖教序です」
加茂「またかいな」
大江「書けば書くほど奥深くなっていきます。スゴい書家ですよね、チョ遂良……」
加茂「あそう、ふーん」
大江「ぜんぜん興味なさそうですね……先輩はなにを書いてるんですか」
加茂「少林少女」
大江「あ、もう観たんですか?」
加茂「けっこう面白かったよ。クローバーフィールドもよかったけど、半紙に収まらんからなあ」
大江「ですね……」

大江「……」
加茂「……なんかしゃべれよ、ゆかり」
大江「え? 集中できません……」
加茂「三人以上だと気にならないけど、二人っきりでダンマリは息が苦しくなってくる」
大江「そんなこと云われても、話題なんて……」
加茂「つまんねー男だな。それ以上黙ってるんなら、帰っちまうぞ!」
大江「……」
加茂(ガーン! 帰ってもイイってか!?)

ほのぼのとめはね……
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大江「おはよーございます……」
宮田麻衣「あっ、オハヨ!」
宮田父「おう、きょうも頼むぜ」
大江「はい、足手まといにならないようにガンバリます」
麻衣「わたし開店時間までワイドショー見てるから、大江くんは父さんほうの仕込み手伝っててよ」
大江「あ、うん……」

大江「えーっと、ネギを刻んで、おわったらゴボウのささがきと……」
宮父「おっ、なかなか包丁さばきがサマになってるじゃないか」
大江「父子家庭でしたから……父が仕事のあいだはボクが食事のしたくを」
宮父「ほう、それは感心だ。うちの麻衣に爪の垢を煎じて飲ませてやりたいぐらいだ」
大江「つ、爪の垢ですか……わかりました」
宮父「待て待て! 言葉通りに受けとるな、見習わせたいという意味の慣用句だ。手を洗ってこい」
大江「あ、すいません……日本語がまだ馴れてなくて」
宮父「履歴書の帰国子女ってのは本当だったな。まあ、麻衣の英語の家庭教師もよろしくなっ」
大江(一方的に英語の宿題を手伝わされてるだけなんですが……)

麻衣「父さんたち、仕込み終わった? あと五分で開店だよ」
宮父「おう、大江くんが手伝ってくれたおかげでバッチリだ。もうのれんを出していいぞ」
麻衣「お茶のセッティングも完璧じゃん。一日で仕事覚えちゃうなんて大江くんって使えね?」
大江「はは……そんなに誉められると後頭部がかゆくなります」
麻衣「ダメだよ頭かいちゃ! もう一回手を洗ってきて!」
大江「あ、しまった……」
麻衣「しかし、父さん、いいバイトを見つけたよね。麻衣もういらないんじゃない?」
宮父「ハハハ、そうだな。すぐお駄賃をねだる麻衣とは違って、バイト代もいらないからな」
大江「……すいません、いま聞き捨てならない会話がかわされたような気が……」
麻衣「あれー? あなたのお父さんから聞かされてないの? 契約のコト」
大江「は? 契約?」
宮父「きみの親父さんな、うちにツケがあるんだよ、6桁ほど……二週間で返してもらうから」
大江「……」

ほのぼのとめはね……

大江「麻衣ちゃん、5番テーブル下げ膳して! おあと4名さまご案内」
麻衣「はっ、はい」
大江「お父さん、2番さまの冷し天ソバがまだ出てません、お急ぎで!」
親父「あいよっ、お待たせ!」
大江「提供いきます! おあと、たぬき温うどんと親子丼一丁!」
麻衣「大江くん、英語のお客さん来ちゃった、お願い……」
大江「了解、じゃあレジかわってくれる……キャナイ・ヘルプユー?」

大江「ありがとうございました〜……」
麻衣「よしっ、ランチタイム終了っと! お父さん、のれん下げるよー」
親父「おう、おつかれ! きょうのピークはスゴかったな。売上新記録かもしれん」
大江「疲れましたね……」
親父「大江くんの接客は、バイト二日目とは思えんな。ほんとは経験あんじゃないの?」
大江「いいえ……でも、母が昔ウェイトレスやってたそうです」
麻衣「スイッチ入るとヒトが変わるよね。こっちはてんてこまいだったよ」
大江「麻衣ちゃんだけに……はは」
麻衣「……」
大江「……」
麻衣「そ、そういえば、いつのまにか私のことチャンづけで呼んでたね」
大江「えっ! ああホントだ……ごめんなさい」
麻衣「なんで謝るの? 呼びやすいんだから麻衣ちゃんでイイよ」
親父「そうだな。「宮田さん」だと、オレや母さんが呼ばれてるのかと思うしな」
大江「はは、わかりました……じゃあよかったら、ボクのこともチャンづけでどうぞ」
麻衣「大江くんって、したの名前なんだっけ?」
大江(ガーン、覚えてなかったのか)「ゆかりですけど……」
親父「ゆかり? がはははー。女の子みたいな名前だな!」
麻衣「ゆかりちゃんかあ……やっぱり大江くんのほうが呼びやすくね?」
大江「うう、お好きにどうぞ……」
親父「あとな、大江くん、オレのことお父さんって呼ぶのはやめてくれ。まだ早いぞ」
大江「あ、ハイ、気をつけます……」

ほのぼのとめはね……

麻衣「よしっ、ソバ屋のバイトはこれでおしまい。つぎは英語の時間だよ、大江くん」
大江「あ、うん……」
麻衣「うえで待ってるから。着替えたら来てね」
親父「ふたりとも英語だからって、GとIのあいだの勉強をしちゃダメだぞ、がはは」
麻衣「……お父さん」
大江「うわっはっはっは! 店長さんナイス・アメリカンジョーク!」
麻衣「……大江くん」

大江「麻衣ちゃん、入るよ〜」
麻衣「ギャー! 着替えてるんだから、ノックしてから開けてよう!」
大江「あ、あ、ごめん……」
麻衣「もう危ないなー、あと五秒早かったら生下着を見られてたとこよ」
大江(加茂センパイのほうがボリュームあるな……)
麻衣「さあさあ座って。きょうは昨日のつづきで、チャプター2の和訳をお願い」
大江「うん……」
麻衣「あたしはドラマの再放送を観てるからさっ。ドクターコトーって最高よね」
大江「コトー先生か。原作のマンガもおもしろいよね」
麻衣「ええ〜、ヤングサンデーだっけ? あんなエロ本みたいな表紙の雑誌、読めないよ!」
大江「なんてことを……」

麻衣「うう〜……ぐすぐすっ」
大江「麻衣ちゃん、ティッシュ使う?」
麻衣「アリガト……コトー先生と星野さん、かわいそう、涙がとまんない……」
親父「ふたりとも頑張ってるか〜? ジュースのさしいれだぞ……」
大江「あ、すいません……」
親父「……」
大江「?」
親父「オイなんで麻衣は泣いてるんだ? そのティッシュはなんだ! きさま娘になにした!?」
大江「お父さん誤解です!」
親父「だから父さんと呼ぶなと云ってるだろうが!」

ほのぼのとめはね……

麻衣「あと何ページ?」
大江「3ページ……」
麻衣「カナダに10年も住んでたんなら、こんな高1レベルの英語なんて楽勝じゃね?」
大江「そうでもないよ。日本の学校英語ってヘンにクラシックだから」
麻衣「ふーん……。あーあ、退屈だなあ」
大江(じゃあ自分で宿題やればいいのに……)
麻衣「あと何ページ?」
大江「2ページ」
麻衣「じろじろ」
大江「な、なにさ? ひとの顔をまじまじと」
麻衣「いや、もし寝起きじゃなかったら、どんな顔しているのかなーっと」
大江「……このまぶたは、べつに寝起きというワケではございません」
麻衣「アハハー。冗談冗談。ねえ、彼女いるの?」
大江「(話がぽんぽん飛ぶなぁ)……いないよ」
麻衣「そうだよね。恋人いたらお盆にバイトなんてしてないよね。私と同じだ〜」
大江「えっ、麻衣ちゃんも?」
麻衣「こんなかわいい女を放っておくなんて、男どもってバカじゃね?」
大江「え……よくわかんないけど……」
麻衣「おーい! いまのツッコミどころ! マトモに返されたらコッチが照れるじゃん」
大江「あ、あ、ごめん……」
麻衣「オモロすぎ大江くん。それにしてもアレだ、わたしはもっと大江くんに近づきたいよ」
大江「えーっ!?」

(……望月さん! ボクはいったいどうすれば!)

麻衣「ヤダ誤解しないで。書道の話だから。ホラ、合宿のとき、わたし最下位だったでしょ」
大江「ああ、そっちね……びっくりした」
麻衣「あと何ページ?」
大江「2ページ……」
麻衣「ぜんぜん進んでないじゃん!」
大江「だって……ごめん」

ほのぼのとめはね……
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