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ほのぼの○○……
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祖母「ほんとにごめんなさいね、ケイちゃん」
義之「いやー、じつにお見苦しい姿を……すまんかった、ケイちゃん」
加茂「はあ、いきなり風呂場の扉をあけた私もいけなかったですから……」

加茂(いつのまにかピンクレディーのケイちゃんになってるし……)
加茂(それにしてもビックリしたなあ……オトコの人の下半身ってあんななの?)
加茂(ゆかりもあんなグロテスクなもんブラさげてるのだろうーか、おええ〜)

祖母「スイカは残念だったわね」
加茂「あー、いえ、海の家からタダで拝借してきたものでしたから、にゃはは……」
義之「オレが責任をとって、ぜんぶ処理するからさっ」
加茂「食べるんですか?」
義之「いや、ムシたちに食べさせる」
加茂(ぞぞぞぞっ……)
義之「カブトやクワガタをいっぱい育ててんだよ。これが近所のガキに高値で売れてな。見たい?」
加茂「虫は苦手でなんで、遠慮しときます……」

加茂(ゆかりのママが逃げてったの、わかる気がしてきた……)

祖母「それにしても驚いたわねぇ。ゆかりにまさかこんなカワイイお友達がいるなんて」
義之「まったくだ。去年までカナダで雪だるまと戯れてたと思ってたら、もう女の子と戯れてるとは」
加茂「……」
祖母「えーと、ゆかりのどこが気に入って付きあってるのかしら、ケイちゃん」
加茂「付きあってるというのは早いんですけど……」
義之「そうだそうだ。あんなまだ下の毛も生えてないようなヤツには早すぎるっ」
加茂「……あー、あえて云うならば、ゆかりくんの字の美しさですね。おばあさんに教わったとか」
祖母「あらー! うれしいこと云ってくれるじゃない」
義之「なぬ、字がうまけりゃケイちゃんと付きあえたのかよ。オレも真面目に習字やっときゃよかったな!」

加茂(どつきたい……どつきたい……どつきたい……)

ほのぼのとめはね……
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加茂「あの……ゆかりクンの部屋で待たせてもらってもいいですか?」
祖母「あらそう? どうかしらね、勝手に入れちゃって……」
義之「平気でしょ。友達が来るってんで、けさ念入りに掃除してたみたいだし」
祖母「そうねえ。さすがに本人もぼちぼち帰ってくるでしょうし」
義之「エロ本が隠してあったらオレに渡してくれ、ナハハハっ」
加茂「……」

加茂(はあ、なんつーオヤジだろう……これ以上一緒にいたら手が出るところだったよ)
加茂(ここがゆかりの部屋か……)
加茂(6畳一間、押し入れ、机、本棚。まるでのび太の部屋みたいだな)
加茂(押し入れ開けたらドラえもんが寝てたりして……ううっ、開けてみたい!)
加茂(いや、だめだ、だめだ。泥棒じゃないんだから)
加茂(それにしても、ほんとーに片付いているな)
加茂(なんでゆかりは私が訪れることを知ってたのだろう? 三輪ちゃんが情報を流したのかな)
加茂(早く帰ってこいこい、ゆかりんグー)
加茂(……)
加茂(本棚スゲぇな。英語の本ばっかりだ)
加茂(それに混じって書道の本がいくつか。感心感心)
加茂(うっ、これは……日記か?)
加茂(イヤっ、だめだろう、それはさすがに! その手をはなせ加茂杏子!)
加茂(……アタシのことも書いてあるのかな……)
加茂(ちょっとだけ、ほんの1ページだけだ……うあー、超ドキドキする!)

「○月○日 加茂先輩に1000円貸した。累計4万9000円なり。
 ○月×日 加茂先輩からビンタされた。耳はやめてほしい。
 ○月●日 日曜なのに加茂先輩に連れ回された。「相棒」なんてテレビでも観ないのに……」

加茂(ヤバい……心臓がドキドキというより、ズキズキしてきた……)

ほのぼのとめはね……

加茂(この日記帳、毎日毎日、ほとんどアタシのことばっかりだ……)
加茂(アタシってば、どんだけゆかりにヒドいことしてきたんだよ)
加茂(海より深く反省した。ゆかりに会ったら謝ろう……)

そのとき、玄関のほうから人の気配がした。「ただいまー」

加茂(わわっ! ゆかりが帰ってきた!)
加茂(髪の毛、乱れてないかな? 鏡チェックしとけっての加茂杏子!)
加茂(おっと日記! もとの場所に入れとかなきゃ!)

大江「さあ、どうぞあがって。むさ苦しいトコだけど」
麻衣「おじゃましま〜す!」

加茂の動きがとまった。(……だれ? この女の子の声?)

祖母「おかえり、ゆかり……。アラもうひとりお友達?」
大江「あ、おばあちゃん、紹介するよ、宮田さん」
麻衣「宮田麻衣です、いつもお世話になってます。こちらお土産のメロンです」
祖母「かわいらしくて礼儀正しくてイイ子ね〜」
義之「……おっ、なんだなんだ? ゆかりのヤツ、今日はモテモテじゃないか」
大江「父さん、いきなりなに云ってるんだよ、初対面で失礼でしょ」
義之「ケイちゃんがさっきから部屋でお待ちかねだぞ」
大江「ケイちゃん? だれ?」
義之「おやおや、これは修羅場の予感ってヤツか? きひひ……」
大江「ごめん麻衣ちゃん、うちの父、たまにへんなこと口走るんだ」
麻衣「……(よくわかんないけど笑っとけばいくね?)」
大江「とりあえず部屋にいこ。こちらへどうぞ」

加茂は日記をお手玉して、その場に落としてしまった。「ヤベェ、来ちゃう!」
押し入れをあけると上段にダイブし、ぴしゃっと閉めた。

加茂(なんで隠れてんだよ、アタシ……)

ほのぼのとめはね……

加茂(あ〜、この押し入れのなか、めちゃ暑い……
加茂(ゆかりの布団はちと匂うし……)
加茂(やべ、汗のスイッチが入っちまった。マスカラ流れちゃうじゃん!)
加茂(こりゃ死んでも外に出るわけにはいかねーな……)

大江「……どうぞ、なにもない部屋だけど」
麻衣「おじゃましま〜す。あー、クーラーきいてて気持ちイー!」
大江「そこらへん座ってて。いま麦茶でも持ってくるから」
麻衣「おかまいなく……あれ、この落ちてるノートはナンダ? 」
大江「わっ! ボクの日記じゃないか! み、み、見ちゃダメ!」
麻衣「ごめんごめん。ぜんぜん読んでないから安心して。字、キレイだねー」
大江「やっぱり読んでるじゃないか……」
麻衣「読んでないってば! 興味ないし? あははー」
大江「ちょっとは興味もってよ! あははのはー」

加茂(ちっ……なんだよこの馴れ馴れしいカンジは!)
加茂(望月ではないよな……どっかで聞いたコトあるカンジの声なんだが)
加茂(同級生か? ゆかりをこんな屈託なく笑わせるコトができるとは……)
加茂(この謎のオンナを太陽だとすると、私は北風か……ガックシ)
加茂(あ〜、汗かきすぎて喉がカラカラになってきたよ……)

大江「麦茶どーぞ」
麻衣「ありがとう。……なんでコップが三つあるわけ?」
大江「おばあちゃんに、もってけって云われたんだけど、おかわり用かな」

加茂(アタシんだっつーの! ああ飲みて〜……)

麻衣「ゴクゴク。おいしいね。ところでさ、日記で思いついんたんだけど……交換日記しない?」
大江「こ、交換日記? ボクと麻衣ちゃんが?」
麻衣「部活のコトとかバイトのコトとか、もちろん恋のコトも……字の練習にもなるでしょ、ねっ」

加茂(う〜む、その手があったか)
加茂(私もゆかりとメール交換したかったんだけど、あいつ携帯もってねえからな……)

ほのぼのとめはね……

麻衣「交換日記のことキマリね! じゃあ今夜から書いて、明日もってくるよーに!」
大江「うん、わかった。なに書こうかな〜」

加茂(ガルルル……)
加茂(ゆかりのヤロウ、鼻のした伸ばしやがって……見えないけど)
加茂(望月ひとすじじゃなかったのかよ!)
加茂(私は押し入れでなにをやってるんだ? なんだか泣けてくるよ……)
加茂(汗だか涙だか鼻水だかわかんないけどマスカラぐちゃぐちゃ)
加茂(くそっ、ゆかりの布団にこすりつけてやる、このスケベ野郎め、どうだっ)

大江「それでは、そろそろ英語の勉強をはじめようか?」
麻衣「あっ、教科書とノート忘れちゃった〜」
大江「はっ? ほんとうに? いったいなんのためボクの家まで……」
麻衣「あはは! いいじゃんいいじゃん今日のトコロは。遊んどこうよ」
大江「麻衣ちゃんがイイならイイけど……なにして遊ぼう」
麻衣「wiiとかないわけ?」
大江「軍人将棋がたしか押し入れに……」
麻衣「グンジンショーギ? なにそれ、マリオカートみたいなもん?」

加茂(やばいっ! 押し入れを開けられてしまうっ……!!)

そのとき、ゆかりの父・義之が姿をみせた。「どうだ? 修羅場か〜?」

大江「もう父さん、なんの用なの」
義之「あれれ? ケイちゃんはどこ行った? てっきり三人だと思ってたのに……」
大江「さっきからケイちゃんケイちゃんって、いったいなにを云ってるのさ?」
義之「おかしいなあ……? まあいいや。ゆかり、ピンクレディのつぎはマナカナの登場だぞ」
大江「マナカナ……?」

ほのぼのとめはね……
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