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ほのぼの○○……
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ひろみ「ねーねー、よしみン……」
よしみ「ンだよ」
ひろみ「童貞って、なァに?」
よしみ「……だれに吹きこまれた? いや、訊くまでもないか」
ひろみ「加茂ちゃんと三輪ちゃんがネ、ゆかりは童貞だ、間違いないって爆笑してて……」
よしみ「ゆかり?」
ひろみ「ホラ、うちの後輩の男子」
よしみ「ああ、あのボンヤリした一年か。いまハヤリの都市伝説のゆかりちゃんかと思ったよ」
ひろみ「なにそれ」
よしみ「気になるならググれ」
ひろみ「……もー、よしみンまで、わたしにわからない言葉ばっかり使って」
よしみ「よく聞け、ひろみ、無知であることと無垢であることは等価でない」
ひろみ「そんなコトより、童貞……」
よしみ「ヒトの忠告をきけよ!」
ひろみ「どーてー! どーてー! どーてー!」
よしみ「しー! ばかッ。パパやママに聞かれたらどうすンだ!」
ひろみ「あー。やっぱりヘンな言葉なんだ」
よしみ「目をキラキラさすな」
ひろみ「ズルいよ、よしみンばっかり知っていて、わたしが知らないなんて」
よしみ「ヒント。うちの勅使河原はそうではありません」
ひろみ「そんな漠然としてたらわかんない」
よしみ「残念だな。もうこれ以上は教えてやれない。わたしにも良心というものがある」
ひろみ「もーッ! 気になって眠れないよ」
よしみ「18になったら教えてやるよ」
ひろみ「気になったからサ、さっきウチでじっくりと半紙にむかって……」
よしみ「書くな!」
ひろみ「ホラ、どう? うまく書けたでしょ」
よしみ「見せるな!」

ほのぼのとめはね……
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加茂「おいおい、ゆかり、両手に花かよ」
大江「両手に……? よくわかりません」
加茂「この程度の日本語にもまだ疎いのか……」
三輪「三人で並んでいて、美女にはさまれてるっていう意味よ、ゆかりちゃん」
大江「ははあ、なるほど……加茂センパイと同じ立場ってコトですね」
加茂「どーゆー意味じゃ、コラぁ!」
日野「ヤダ、大江くん、perfumeみたいなんて言い過ぎだわ」
望月「誰も云ってないですけど、部長さん……」
三輪「それにしても、鵠沼のあなたがどうしてここに?」
宮田「じつは、大江くんから誘われちゃいました……あは」
大江「ちょ、ちょっと麻衣ちゃん、なに根も葉もないこと云ってンのさ!」
宮田「だって大江くん、『きれいにあがったトコロが見たいよね』って……」
大江「それ花火じゃなくて、お店で出してる天ぷらの話だから!」

ド・ドーン!
ぱらぱら……

日野「あ、はじまった」
加茂「たーまやー!」
三輪「かーぎやー!」
大江「玉……? 鍵……?」
望月(めんどくさい、放っておこう)
宮田「わあッ、きれいだね! ほら大江くん」
大江「う、うん……」
宮田「麻衣のゆかた姿とどっちがキレイ?」
大江「えッ!? きゅ、急に訊かれてもわかんないよ……」
望月「えー、コホン……おジャマでしたら、わたし消えてさしあげますけど」
大江「そ、そんなッ、望月さん」
宮田「あ! ちょっと待って、私が消えるから!」
大江・望月「へっ……?」

宮田麻衣はくったくなく笑った。

宮田「いちおう花火も見れたし、ゆかたも披露できたし、今年はコレで十分じゃね?」
大江「でも、まだ大会がはじまったばかりなのに」
望月「そうよ、私のコトなんか気にせず、大江くんともっと一緒にすごしたら……」
宮田「アハハ。それができたら願ったりだけど、花火の日は毎年のことだからさー」
望月「あッ……おそば屋さん?」
宮田「そうそう。最後のナイアガラが終わったら、客がどーっと商店街に押し寄せてくるから」
大江「あー、そっか、なるほど……」
宮田「大晦日の年越し蕎麦とならんで、これは宮田庵の一大イベントだから、アハハ」
望月「たいへんね……」
宮田「というワケで、大江くんのコト、あとは任せたから、望月さん」
望月「えーッ、もう?」
宮田「バイバイキーン……」

大江「行っちゃった……」
望月「あれッ、森三中……じゃなくて先輩たちの姿までない!」
大江「ホントだ、はぐれちゃったんだ」
望月「……っていうか、いつまで私の腕をつかんでいるのよッ」
大江「あっ、あっ、ごめん」
望月「おばあさまの縫ってくれた浴衣じゃなかったら、一本背負いかましてるトコだから」
大江「そうだ……浴衣で思い出した」
望月「ごまかすつもり? ……なに思い出したの」
大江「この浴衣、なんか見た覚えがあるなーと思ったら、お母さんだ……」
望月「え……」
大江「小さいとき、一度だけお母さんと一緒に花火を見た記憶があって、そのときの浴衣がこれだった」
望月「……」
大江「そのときも、いまみたいに袖をギューっとつかんでいたっけ、はは……」
望月「帯をギューじゃなくて?」
大江「帯じゃなくて……」
望月「……」
大江「……」

望月「えーと、これ以上はぐれてしまうのもアレだし……」
大江「ん?」
望月「袖をつまむぐらいなら気にしないよ」
大江「……イイの? 投げない?」
望月「云っておくけど、大江くんを迷子にしないためだからね!」
大江「フラフラしてたらカツアゲされそう? ぼくそんなに頼りないかなァ……」

ド・ドーン!
ぱらぱら……

麻衣「ただいまー」
店主「おかえり、早いな」
麻衣「人出ヤバいんだもん、疲れるまえに帰ってきちゃった」
店主「そんなスゴイか。今年も大忙しになりそうだな」
麻衣「あーあ、そば屋の娘なんか生まれるんじゃなかった……」
店主「そういえば大江くんを探しにいったんじゃなかったのか? ホールの人手が足りないからって」
麻衣「あんなに人がいたら、見つかるわけないじゃーん」
店主「そりゃそうだ」
麻衣「それに、こんな日にバイトを頼んだら悪いよ、やっぱり……」

 「こんばんわー」「やってますかー?」

店主「おわっ、まだ花火やってるのに、もう客が来たみたいだぞ」
麻衣「えーっ? まだ浴衣なのに……」

麻衣「いらっしゃいませ……って、アレレ?」
日野「こんばんわ、宮田さん」
三輪「こちらでバイトを探してるって聞きつけたので、うかがいました〜」
加茂「ゆかた美女の店員が四人も揃ったら、大繁盛まちがいなしだろ!」
麻衣「え、え、えええ〜!」

ほのぼのとめはね……

桜子「あー、スイマセン、ちょっくら前を通らせてもらいますよ……」
粉川「イテっ! おいコラ、足を踏んだぞ、ネエちゃん」
桜子「なによッ、足を投げだして座ってるそっちが悪いンでしょ!」
粉川「……って、おい?」
桜子「あれ……もしかして巧くん?」
粉川「海老塚かよ……」
桜子「どこのヤクザかと思った。サングラスとりなさいよ。柄わっるい」
粉川「ちッ……あいかわらずだなぁ」
桜子「となりの席、空いてるンでしょ。座るわよ」
粉川「勝手にどーぞ」
桜子「フフン。まさか立体大の監督さんが、こんな高校生の地区予選から見学にきているとはね」
粉川「そういう東都女子大さんのスカウトもご熱心なコトで」
桜子「云っておきますけど、望月結希に最初に目をつけたのはウチですからね」
粉川「早いもの勝ちってワケじゃないだろう……」
桜子「遠慮してよ。立体大には麻理ちゃんがまだ現役でがんばっているじゃないの」
粉川「あいつの栄光はもはや過去のものだよ……ロンドンまでなんてとても……」
桜子「薄情なのね……ずっと一緒に柔道やってきた仲間なのに」
粉川「臨機応変といってくれ」
桜子「そんな薄情だから、保奈美のコトも……」
粉川「おいおい、彼女のコトを蒸しかえすのはヤメてくれよ」
桜子「巧くん、シドニーのときから変わったよね」
粉川「……」
桜子「柔道だって、あんなに一本にこだわっていたくせに……たしかに金はとったけれど……」
粉川「しかたないだろ。あーゆーポイント重視の戦いかたが、これからのスタイルなんだよ」
桜子「望月結希にはそんな柔道をやらせませんからねッ」
粉川「そんなに尖るなっての……おまえは中学ではじめて会ったときから変わンねーな、まったく」
桜子「……えっ」
粉川「このあと予定はあんの? よかったらどっかで飲みながら思い出でも語らない? あははー」

桜子(くっ、この屈託ない笑顔……十五年たってなお、私に女を思い出させる……悪党ッ)

ほのぼのとめはね……
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