鈴木(ふー、今回もなんとか生き残ったよ、かあさん)
鈴木(しかしなんだな、ひとりの家に帰るのはわびしいな……)
鈴木「ねえねえ坂田くん」
師匠「ハイ、なんすか?」
鈴木「よかったら飲みにいかない。ミッション生還を祝して」
師匠「スンマセン。じぶん肝臓がボロボロで……」
鈴木「あー、そうか……いやイイんだよ。……あ、稲葉くんはどう?」
稲葉「おれ飲めないスから(勘弁してよ、おっさんとなんか飲めるかよ)」
鈴木「残念だなあ……あとのメンバーはみんな未成年だしな……」
レイ「あの……あたしでよかったら付き合いますよ」
鈴木「レイカちゃん、18じゃなかったっけ、おじさん捕まっちゃうよ」
レイ「だいじょうぶです」
鈴木「だいじょうぶって……」
レイ「……」
鈴木「……まさか……」
レイ「……夏川純ちゃんもやっていたことですし」
鈴木「アイドルもたいへんだね……」
レイ「……クロノくんには内密にお願いします」
ほのぼのガンツ……
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師匠が超能力を教わったのは、女だった。
いまの坂田・桜井みたいにコンビを組んで、大阪で戦っていた。
女の超能力はハンパでなく、坂田以上に肉体の衰えがひどかった。
女は常にいっていた。「わたしが死んでも甦らせないで」
しかし坂田は女にゾッコンだったので、あるミッションのあと甦らせてしまった。
坂「……だってよぅ、目の前に生き返らせる手段が あるのに、ほおっておくなんでできるかよ!」
女「……あなたにもいつかわかるわ、それは結局命を粗末にすることなのよ」
女はさらに二回死んで、坂田はそのたびに甦らせた。
ミッションのたびに女は衰え、全身がむしばまれ、容貌も老婆のそれになった。
女は坂田を憎んだ。「なんの権利があってこんな仕打ちをするの……」
坂田は答えられなかった。
つぎのミッションで、女はど級の超能力を使って死んだ。
坂田がガンツに頼んでも無理だった。「超能力女は廃車でし」
坂田は絶望して、みずからの解放を選んだ。
しかし記憶がかんぜんに消えたわけではなかった……
ほのぼのガンツ……
加藤「岡ってのは、どんなやつなんだろうな……」
山咲「じつをいうと、うちも顔は見たことないねん」
加藤「え……」
山咲「いっつもステルスしてん。ミッション中も、黒飴ちゃんの部屋でも」
加藤「まじかよ」
山咲「口きいたことあらへんから声も知らんし」
加藤「……(ヒッキーなのか?)」
山咲「むかーし、ノブやんが最初に召集されたときに、一回だけ声を聞いたって」
加藤「なんて?」
山咲「スーツ着ろって」
加藤「……」
たけし「ぼく、さっきロボットにのってるひと見たよ!」
加藤「うそっ!!」
たけ「胸のところに乗ってた! すごーい高いところ!」
山咲「どんな、どんな顔してた? イケてた?」
たけ「んーとね、目がふたつで、お鼻と口がひとつで……」
加藤「何歳ぐらい?」
たけ「ぼくより大っきかった」
山咲「おねがい……もっとくわしく」
たけ「ぼくが手を振ったら、いないいないバーしてくれた!」
ほのぼのガンツ……
桜井「師匠……」
坂田「なんだよ、思い詰めた顔をして」
桜井「相談があるんスけど」
坂田「金の相談ならお断りだかんな」
桜井「ちがうっす! もっと真剣な……」
坂田「……なーんだ、とんこつか」
桜井「……(顔真っ赤)」
坂田「おまえら、どこまでいってん?」
桜井「どこもいってないスよ! 告ってもいないのに」
坂田「はあ? そっからかよ。だいたいお前、あの女のコトどんくらい知ってんの」
桜井「本名も知らない……」
坂田「それでどうやって告白すんだよ。とんこつが好きです!って叫ぶのか?」
桜井「ラーメンの話になっちゃうすね」
坂田「……とんこつは、稲葉が好きだって云ってたぞ」
桜井「うそでしょ!!!」
坂田「うっそーん」
桜井「いたいけな中学生をからかわないでくださいよ……」
坂田「悪い悪い。でもおまえ、キスの経験とかあんの? マジで」
桜井「……いちおう、あるっす……」
坂田「へー、意外。どんな?」
桜井「……学校のトイレで……体育の先生に……」
坂田「……」
ほのぼのガンツ……
レ「ねえ風くん……ちょっと云いにくいことなんだけど……」
風「なんじゃい、レイカ?」
レ「そのスーツって、いつ洗ったの?」
風「一回も洗ってないが」
レ「そっちのノースリーブになってる学ランも……」
風「中学んときから、一回も洗っとらん!」
レ「だと思った……すごい匂いだもの……ホイホイのほうがまだマシ」
風「ほっといてくれ」
レ「風くんはイイでしょうけど……たけしくんが……」
風(ギク)
レ「最近おなじような匂いがしてきてるのよね……」
風「まあ、おれと暮らしてるからな」
レ「ふと思ったんだけど、お風呂とか入れてあげてる?」
風「……公園で水をつかうぐらいなら……」
レ「ちゃんとご飯食べさせてるのかしら? 育ち盛りなのよ」
風「おれは野草が主食だったけど、こんなに逞しくなったぞ」
レ「……私、思うんだけど……たけしくんはちゃんと収入ある人が育てたほうが……」
風「……」
レ「私がひきとってもイイと思うの。お金なら……その、グラビアで稼いでいるから」
風「……東京チームの結束も、これまでだな」
レ「待って、行かないで! ……大事なのは、たけしくん本人の気持ちじゃない?」
風「……」
レ「聞いてみましょうよ。たけしくんに。どっちと一緒に暮らしたいか。ねっ」
風「そんなの聞いてみるまでもない。たけしは筋肉ライダーが好きなんじゃ」
レ「さあ、たけしくん、どっちがいい?」
た「……」
風「筋肉ライダーだよな、なっ、なっ、たけし?」
た「……」
風「なに真剣に迷ってんだ、たけし……!」
ほのぼのガンツ……
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