加藤(うッ……)
加藤(地面に100円が落ちてる)
加藤(どうする、拾うか……?)
加藤(ドクン、ドクン)
加藤(はぁッ、はぁッ)
加藤(ふぅぅ……)
加藤(計ちゃん、オレはどうすれば……)
加藤(こんなとき、計ちゃんならどうするンだろう)
加藤(はぁッ、はぁッ)
加藤(ふぅぅぅ〜)
加藤(よし、だれも見てないな)
加藤(いいンだな、オレが100円拾っても!)
加藤「——ああっ! そんなッ!?」
西「結局オレが100円ゲットか……」
ほのぼのガンツ……
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影山「鵠沼高校のみなさん、一週間おつかれさまです。ありがとうございました!」
笠置「あ……こちらこそ、ありがとうございました……」
影山「ホラ、おまえたちも」
鈴里の生徒たち「あ、ありがとございっしたーっ」
影山「よしっ、帰るぞ鈴里書道部!」
影山「切符まとめて買うぞ。望月は歩いて帰ったから、えーと全部で何人だ?」
三輪「ひぃ、ふぅ、みぃ……6人?」
加茂「おいっ! なんで鵠沼のおまえがいるんだよ!」
よしみ「えっ……だって帰る家がいっしょだし……」
ほのぼのとめはね……
笠置「あ……こちらこそ、ありがとうございました……」
影山「ホラ、おまえたちも」
鈴里の生徒たち「あ、ありがとございっしたーっ」
影山「よしっ、帰るぞ鈴里書道部!」
影山「切符まとめて買うぞ。望月は歩いて帰ったから、えーと全部で何人だ?」
三輪「ひぃ、ふぅ、みぃ……6人?」
加茂「おいっ! なんで鵠沼のおまえがいるんだよ!」
よしみ「えっ……だって帰る家がいっしょだし……」
ほのぼのとめはね……
ゆかり「ねえ、父さん」
父「なんだ……いま、昼寝で忙しいってのに」
ゆ「ボクの本棚にあったマザーグースの絵本を知らない?」
父「あ〜、あのへんのカナダからもってきた洋書なら、神田の古書街で売っちまったよ」
ゆ「勝手に!?」
父「ダハハ。ハリーポッターとかも原書だとけっこうイイ値段で引きとってくれるな!」
ゆ「なッ、なんてコトしてくれんだよ、このクソ親父!」
父「悪い悪い。でもあんなコドモむけの本、もう読まないだろ?」
ゆ「いくら金がないからって、ひとの本を勝手に売るなんて最低だよ!」
父「だから悪かったってば。代金の半分あげるから許せ」
ゆ「そういう問題じゃない! このゴク潰しっ、この無職・無能・無責任男!」
父「……コラ、父親にむかって、なんて口のききかただ」
ゆ「父親ぶるンなら、少しでも父親らしいところを見せてからにしてくれよ!」
父「……」
ゆ「だからイヤだったんだ! こんなコトなら、あのとき母さんにくっついていけばよかった!」
父「ゆ、ゆかり……」
ゆ「母さんと一緒に日本へ帰った、あの知らないオジサンのほうが父さんより全然マシだったよ!」
父「ゆかりッ!」
パシっ!
ゆ「……」
父(あっ、しまった……)
ゆ「ぶったね……加茂先輩にしか、ぶたれたコトなかったのに……」
父「ゆかり、あのな」
ゆ「ファッキン・ダディ! ゴー・トゥ・ヘル! アスホール!」
父「おっ、おい待てッて、ゆかり!」
コンコン……
父「ゆかり、入るぞ……」
ゆ「……」
父「真っ暗じゃないか。灯りぐらいつけろよ」
ゆ「やめてよ。泣き顔を見られたくないんだ」
父「……」
ゆ「……」
父「その、えーと……、本当にすまなかった、ゆかり……」
ゆ「……」
父「おまえの大事なマザーグースの絵本……あれは母さんが最後に買ってくれた本だったな」
ゆ「いいよ……べつに」
父「それに、ついカッとなって、手をあげてしまったコトも謝る」
ゆ「……」
父「おまえを引きとるって決めたとき、決して暴力を振るわないと誓ったはずなのに……」
ゆ「イイってば。ボクも悪かったし……」
父「父さんは、最低の父さんだな」
ゆ「そんなコトないよ。ぼくにとっては唯一無二の最高の父さんだよ」
父「……」
ゆ「父さんにヒドいことを云ってしまって、ゴメンナサイ……」
父「ゆかり……」
父はぎこちなく息子の肩を抱いた。息子は黙ってそれを受け入れた。
父「あのな、ゆかり、あのあと父さんすぐさま神田に走ってな……」
ゆ「ええッ? マザーグースを買い戻してきたの? ほんとに!」
父「ハハハ、売ったときの三倍ほどの値段になってたけどな」
ゆ「わあ! 父さんスゴいや、アイ・ラブ・マイ・ダディ!」
父「5年ぶりぐらいに聞いたな、そのセリフ。ついでにどうだ? 久しぶりに一緒に風呂でも入るか」
ゆ「えー。それはイイや……」
ほのぼのとめはね……
加茂「あッ、見つけた」
大江(やばっ……)
加茂「おっとと、どこへ逃げるつもりだ、ゆかり。とうとう捕まえたぞ」
大江「イテテ……耳がちぎれちゃいますよ、加茂センパイ」
加茂「いーや、このまま部室まで引っぱっていく。一週間もサボりやがって」
大江「サボってないです。書道甲子園の作品なら、ちゃんと家で練習してますってば!」
加茂「どうだか。小町通りの商店街に通いつめてンじゃねぇのか?」
大江「……」
加茂「やっぱりな。そんなに鵠沼の一年生ギャルがカワイイかよ」
大江「そんなんじゃないですよ。だいたい、麻衣ちゃんはホール担当だけど、ぼくは厨房だし」
加茂(なんだか身に覚えのあるポジションだな……)
大江「最近は、ボクが蕎麦を打ってるんです」
加茂「婿養子にでもなるつもりかよ!?」
大江「違うんですよ……宮田庵のオヤジさんが急に倒れちゃって……」
加茂「そりゃタイヘンだな」
大江「タイヘンなんてもんじゃないですよ。バイク運転できるひとがいないから、出前が入ると麻衣ちゃんが狩りだされちゃって」
加茂「そのあいだは一人で調理と接客? どんだけ人手足りないンだよ……」
大江「だからお願いします! あと一週間だけ部活を休ませてください!」
加茂「ちッ……そういう事情ならしょうがねぇなあ……」
その夜、宮田庵……
大江「天ざるとカツ丼お待たせ!」
加茂「二丁目までスーパーカブで出前いってくらぁ!」
日野「いらっしゃいませ、何名さまですか〜」
三輪「ビール二本追加で〜す。よかったらお酌いたしましょうか?」
麻衣(鈴里のひとたちって、みんなイイ人だなあ……ぐすん)
大江「麻衣ちゃん、どうしたの? タマネギ切り過ぎた?」
麻衣「ううん、なんでもない! おあと、冷やしタヌキお願いしまーす!」
ほのぼのとめはね……
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