加茂「あッ、見つけた」
大江(やばっ……)
加茂「おっとと、どこへ逃げるつもりだ、ゆかり。とうとう捕まえたぞ」
大江「イテテ……耳がちぎれちゃいますよ、加茂センパイ」
加茂「いーや、このまま部室まで引っぱっていく。一週間もサボりやがって」
大江「サボってないです。書道甲子園の作品なら、ちゃんと家で練習してますってば!」
加茂「どうだか。小町通りの商店街に通いつめてンじゃねぇのか?」
大江「……」
加茂「やっぱりな。そんなに鵠沼の一年生ギャルがカワイイかよ」
大江「そんなんじゃないですよ。だいたい、麻衣ちゃんはホール担当だけど、ぼくは厨房だし」
加茂(なんだか身に覚えのあるポジションだな……)
大江「最近は、ボクが蕎麦を打ってるんです」
加茂「婿養子にでもなるつもりかよ!?」
大江「違うんですよ……宮田庵のオヤジさんが急に倒れちゃって……」
加茂「そりゃタイヘンだな」
大江「タイヘンなんてもんじゃないですよ。バイク運転できるひとがいないから、出前が入ると麻衣ちゃんが狩りだされちゃって」
加茂「そのあいだは一人で調理と接客? どんだけ人手足りないンだよ……」
大江「だからお願いします! あと一週間だけ部活を休ませてください!」
加茂「ちッ……そういう事情ならしょうがねぇなあ……」
その夜、宮田庵……
大江「天ざるとカツ丼お待たせ!」
加茂「二丁目までスーパーカブで出前いってくらぁ!」
日野「いらっしゃいませ、何名さまですか〜」
三輪「ビール二本追加で〜す。よかったらお酌いたしましょうか?」
麻衣(鈴里のひとたちって、みんなイイ人だなあ……ぐすん)
大江「麻衣ちゃん、どうしたの? タマネギ切り過ぎた?」
麻衣「ううん、なんでもない! おあと、冷やしタヌキお願いしまーす!」
ほのぼのとめはね……
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