望月「おつかれー」
大江「あ、おつかれさま」
望月「あれ、まっすぐ帰るンだ?」
大江「そのつもりだけど……なんで?」
望月「きょうは宮田ソバでバイトじゃないんだ、ふーん」
大江「ううッ……」
昇降口のそとは、雨がしとしと……
大江「ああ、よかった。折り畳みもってきといて」
望月「……」
大江「え、望月さん、もしかして傘ないの?」
望月「平気よ、こんぐらいの雨なら走って帰る!」
大江「だめだよ。インターハイ前の大事な身なんだから」
望月「うえッ。特別扱いみたいなのはヤメてよね」
大江「違う違う。これで風邪でもひかれたら、また書道部のせいだって柔道部に怒鳴りこまれるっての」
望月「それはおおいにありそうだけど……」
大江「傘は天下のまわりもの、ってコトワザなかったっけ、日本語で」
望月「まあ、たしかに間違ってなくもない」
大江「だからさ、ホラ!」
大江が傘をさしだすのを、望月はニコっと笑って受けとった。
そこにだけ日が差したような笑顔だった。
望月「ありがとう! あしたは柔道部の練習だから、あさって返すね! バイバイ!」
大江(あれ……えーと……いっしょに相合い傘して帰るんじゃなかったのか?)
ほのぼのとめはね……
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