ひろみ「ねぇ、よしみン、起きてる……?」
よしみ「……寝てます」
ひろみ「起きてるじゃない。入るわよ」
よしみ「いまやっと寝入ったトコなんだよ!」
ひろみ「ねーねー、いっしょに寝よ……」
よしみ「お断り。ひろみの寝相の悪さときたら」
ひろみ「イイでしょ、イイでしょ」
よしみ「強引にベッドに入ってくるなっての!」
ひろみ「わー、よしみの布団あったか〜い」
よしみ「ギャーっ、冷たい! おまえの手足は冷えピタか!」
ひろみ「小さいころはよく一緒に抱きあって寝てたじゃない」
よしみ「小さいころは小さいころ。いまはプライバシーを尊重する17歳同士としてだな……」
ひろみ「アレッ、よしみン、また胸が成長したんじゃない?」
よしみ「パジャマのなかまで手をつっこんでくんな! 心臓マヒおこすわ」
ひろみ「それより、よしみン聞いてよ。すっごい怖い夢を見たの……」
よしみ「ひとの話にゃ、まったく聞く耳なしかよ」
ひろみ「うちの書道部がね、まず望月さんが柔道が忙しくなって辞めちゃって……」
よしみ「ああ、あの初心者の一年生ね」
ひろみ「加茂ちゃんと三輪ちゃんもいなくなって、とうとう大江くんと私だけになって廃部に……」
よしみ「ぶわっはっは。あながち夢だけとも限らない話じゃないか」
ひろみ「それで怖くて泣きながら目を覚ましたの……お願いだから、いっしょに寝て。ね?」
よしみ「ちっ……しょうがねぇなあ。今夜だけだぞ」
ひろみ「……ぐー」
よしみ「はやっ!」
妹は、姉の体にそっと毛布をかけてやった。
よしみ「こうしてスヤスヤ寝息をたててる分には、たしかに天使なんだがなぁ」
ひろみ「……むにゃむにゃ……イヤぁン、やめてよゥ、勅使河原クン……」
よしみ「こっ、こいつは……うらやましい夢を見やがって……!」
ほのぼのとめはね……
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