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ほのぼの○○……
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望月「はよーございますっ!」

全員「……」
望月「……ど、どうしたんですか? 部室がお通夜みたいなムードになってますが」
大江「おっ、おはよー……」
日野「おはよう、望月さん……」

加茂「(ひそひそ)意外とサバサバした感じだな……」
三輪「(ひそひそ)アレかしら、落ちこんでないふうに装ってるのかしら……」
大江「(ひそひそ)しっ、聞こえちゃいますよ」

望月「なにコソコソ話してんですかっ?」
大江「あう。イヤー、べつに……」
加茂「望月、きのうはお疲れだったな、日本選抜体重別」
三輪「加茂ちゃん! きのうのコトにふれちゃダメだって」
加茂「なに云ってんの、来留間真里を破って優勝したんじゃないか、そこは祝福しないと!」
日野「おめでとう望月さん。テレビで応援してたよ。スゴいよね」
大江「おめでとう、日本一!」
望月「あははー、ありがとうございます! でも五輪の代表からはハズれちゃいましたけどね」

全員「……」

望月「来留間さんの実績には及びませんからね。これで五大会連続ですって、スゴいなあ」
全員「……」
加茂「にゃはは……。まあその、なんだ……」
三輪「そうね。望月さん、気を落とさずに、というか……」
大江「また四年後がありますよ、うん……」
望月「ハア? なんですかソレ? もしかしてその件で私が落ちこんでるとでも?」
全員「……」
望月「やだなあ、気ぃ使わなくてダイジョーブですよ! 北京なんかに未練はないです」
全員「…………」

望月(完っ璧に誤解されたなあ。メールで来留間さんに代表をゆずっちゃったっていうのは、
   しばらく黙っとこ。夏は書道部の合宿に参加したいんだよね……)

ほのぼのとめはね……
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プルルル……

勅使「はい?……もしもし……」
勅使「なんだ、おまえかよ。寝てたに決まってるだろ……こんな夜中になんだよ」
勅使「はあ? 声が聞きたくなったって?」
勅使「そんだけの用で電話してくるか、ふつー? いま1時だぞ」
勅使「……ちょ、泣くなよ……」
勅使「うん、うん……はいはい」
勅使「ふたりの関係って、いまさら訊かれてもなあ……」
勅使「……まあ、書道部の部員同士、としか云えんよな」
勅使「だから泣くなっての」
勅使「……うんうん、わかったわかった」
勅使「それはだから認識の違いってヤツだろ」
勅使「だーかーらー、花火の時みんなから離れてキスしたぐらいで、恋人にはならないっての」
勅使「あっそ。ふーん。いいよべつに。部員一人ぐらい減っても……」
勅使「分をわきまえろっていうの」
勅使「おれみたいなイケメンが、おまえみたいな書道オタク女とつりあうわけねーだろ」
勅使「おれは学校の女子全体の共有財産みたいなもんだからさあ……」
勅使「そうそう、わかればいいのよ、わかれば」
勅使「いい子にしてたら、またかわいがってやるからさ」
勅使「うんうん……わかったから、今夜のところはもう寝ろよ」
勅使「はいはい……えー? 例のアレをやれって? やったら寝ろよ」
勅使「ラーメンつけめん、ぼくイケメン。はい、おやすみー」
勅使「……ふー、めんどい……」

笠置「……もう、うるさいわねー。こんどはだれを泣かしたのよ?」
勅使「あ、ごめん、起こしちゃった?」
笠置「おイタもほどほどにしとかないと、いつか刺されるわよ」
勅使「大丈夫。気は強そうにみえても、意外と臆病だから……あの日野よしみという女は」
笠置「なぁんだ彼女だったの……とりあえず明日100枚書き取りの罰ね……」

ほのぼのとめはね……

ブロロロ……

明石「……」
笠置「……」
明石「……なあ、まだムクれてんの」
笠置「べつに……」
明石「だから、勝手にお寺に迎えにいったのは謝るっていってるじゃん」
笠置「生徒たちのまえで恥をかかせて……他校のひともいるっていうのに」
明石「しょうがないでしょー。もとはといえば、奈津子がぜんぜん連絡くれないから」
笠置「夜の自由時間もつぶして部長の子に指導してたのよ」
明石「指導ねえ。指導といえば、なんか他校の教師が男だったよな。どういう関係?」
笠置「関係なんて……。たまたまウチと鈴里の部長同士がふたごの姉妹だったというだけの話よ」
明石「あのハゲ教師のおまえを見る目は、ふつーじゃなかったけどなぁ。あンのくそハゲ野郎」
笠置「ハゲハゲって、あなたもそうとう来てるわよ。十年後にはおともだちかもね」
明石「……ちっ」
笠置「それより、このminiに、だれか乗せたでしょ」
明石「(ぎく)」
笠置「助手席のシートの角度が微妙に違ってるのよね……」
明石「とっともだちに貸したんだよ! ほらサーフ仲間のケンちゃんにさ!」
笠置「べつにあなたのクルマなんだから、誰を乗せたってかまわないけど」
明石「信じてよー!!」
笠置「こんどバレるようなヘタな浮気をしたら、この車ボっコボコにするから、覚悟しといて」
明石「……はい……」
笠置「……」
明石「……」
笠置「……つぎの信号のむこうの、アソコに入って」
明石「えっ? あれホテルだけど……」
笠置「一週間も禁欲的な生活したもんだからイライラしちゃって」
明石「了解〜〜!」

ほのぼのとめはね……

望月「大江くん、これぐらいで勝ったと思わないでよね!」
大江「……」
加茂「まあまあ望月、そんなキツク云うなって」
三輪「ゆかりちゃんもおとなしすぎ。ちょっとは云い返せばイイのに」
望月「そうよ! あんた見てるとイライラすんのよ。少しは自分ってもんを出したら!?」
大江「……ごくっ」
加茂(おおっ?)
三輪(ゆかりちゃんの目の色がかわった……)
望月「なっなによ。やるっていうの?」
大江「ユー・スタッピド・クレージー・マザファッキン・サノバビッチ!」

加茂「……」
三輪「……」
望月「……」

大江「ハアハア……ホーリーシット!……」

望月「なんか余計ハラたった。三角締めで落とすわ」
加茂「そうだな、それがいいな」
三輪「弁護できないわね……」

大江「ノー! ヘルプ! ジーザスクライスト!」

ほのぼのとめはね……

加茂「あー、終わった終わった……」
大江「どうしたんですか先輩、ぐったりしちゃって」
加茂「進路相談だよ。めんどくせぇ。なーんも考えてないっつーの」
大江(すこしは考えればいいのに……)
加茂「ゆかりは進路どうするつもりだ? まだ一年だから考えてないか」
大江「そうですねえ。獣医学部にいきたいと思ってますけど」
加茂「エー! 意外! なんでまた?」
大江「ムツゴロウさんが大好きで……獣医になるというより、研究家になりたいんですよ」
加茂「ああ、たしかに研究家タイプかもしれんな」
大江「ワホリアン・ハスキー犬の研究に一生をささげたい!」
加茂「ワホリアンって、もしかして望月が飼っているアノ珍獣か」
大江「カナダのプリンスエドワード島原産なんですよ」
加茂「あっ、おまえが帰国前に住んでいたトコ」
大江「そうです。なんだか、不思議な縁みたいなものをあの犬には感じるんですよね……」
加茂「とかなんとかいって、望月への下心アリアリなんじゃねーの?」
大江「ゴホン! それはともかく、やっぱり北国育ちですから、北海道大学なんかいいなあ……」
加茂「北海道か……じゃあいまからジンギスカンとウニイクラ丼を予約しとくわ」
大江「いやだ、といっても押しかけてくるんですよね、きっと……」
加茂「のみこみが良くてよろしい」

望月「……おふたりさん、なんの話ですか?」
加茂「おー、望月。おまえは高校卒業後のこと考えてるの?」
望月「進路ですか? もう立体大の柔道部に内定してます」
加茂「スカウトはやっ!!!」
望月「あこがれの来留間センパイや金メダリスト粉川サンの後輩ですよ! ……大江くんは?」
大江「ぼく早稲田!」
加茂「!?」
大江「やっぱり東京が一番だよね。大都会でクールなキャンパスライフを送るのさっ」
加茂(さてどうやってツッコムべきか……)

ほのぼのとめはね……
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