ドズル「おおう。姉貴。なんだか怖い顔をしているが?」
キシリア「ドズル、この莫迦ものッ! 私とともに来い。ギレン総統がお呼びだ」
ドズル(ぎくッ)
キシリ「よくもまあ、ザビ家の顔に泥を塗ってくれたものだ……破廉恥にも程がある」
ドズル「ううッ、やはりあの週刊誌の記事か」
キシリ「あきれた校長、士官候補生の教え子を妊娠さす……やれやれまったく」
ドズル「ちゃんと報告して、正式に婚姻するつもりだったのだ。順序が前後しちゃったけど……」
キシリ「申し開きは、父上やギレン兄のまえでするがよい」
ドズル「くそッ、なんで怒られないといけないンだ……むしろ慶事ではないのか」
キシリ「時期が悪い。連邦との開戦がまじかなのに、中将がうかれてる場合か」
ドズル「まあ、それはそうだが……」
キシリ「それに、これ以上ザビ家の家督の継承権者が増えるのを喜ばぬ人間がいる」
ドズル「……それは姉貴のことではないのか」
キシリ「フフン……ギレン兄だって同様だし、もしかしたらガルマもそうかもしれぬぞ」
ドズル「やめてくれ、キシリア姉」
キシリ「ドズル、もしやおぬしも、我々兄姉を出し抜こうと考えての行動ではないのか?」
ドズル「言い過ぎだぞ! それ以上、虚言を吐くならたとえ姉貴といえども……」
キシリ「そのような甘い考えで、ザビ家の男がつとまると思うか。ともかく、私はギレン総統を好かぬ」
ドズル「またそんなコトをいう……少しは仲良くすればイイのに、昔みたく」
キシリ「ザビ家は呪われた一族なのだ、ダイクンが倒れたあの日からな……さぁ、ついたぞ」
ギレン「来たな、ドズル」
ドズル「ぎ、ギレン兄ぃ……」
ギレン「なにはともあれ、おめでとう! ゼナとかいう娘には最高の医師団を送っといたぞ」
ドズル「え?」
ギレン「いやあ、めでたいなぁ。おれもついに伯父さんと呼ばれる歳になったンだなあ」
ドズル「……ああ、ああ、そうだな」
ギレン「男かなあ、女かなあ。男の子だったら名前に濁音を入れ忘れるなよ!」
ドズル「おおッ、それでこそだ、ギレン兄!」
キシリ(これだからザビ家の男どもは……見かけによらず人がイイ……)
ほのぼのオリジン……
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フラウ「アムロ、いるんでしょ?」
アムロ「……」
フラウ「お食事と、制服の着替え、ここ置いておくから」
アムロ「……」
フラウ「じゃ、あたし、キッカたちを保育所に届けにいってくるからさッ」
アムロ「……」
フラウ「たまにはカーテンあけて空気入れ替えなさいよ……キャ!」
アムロ「ちょっとだけ、ちょっとだけ」
フラウ「待ってよ、もう……急ぐって云ってるのに……あァン……シャワーぐらい浴びようよぅ」
アムロ「……はぁはぁ……」
フラウ「うゥん……もう、いつも突然なんだからァ……」
三分後……
アムロ「ふ〜……」
フラウ「やだ、もう、自分だけ先に服を着て……」
アムロ「いいだろ、べつに」
フラウ「ジャブローについてから、こんなコトばっかり。たまには出かけたら」
アムロ「しょうがないだろ。ガンダムは動かないし」
フラウ「また、すぐパソコンにかじりついちゃって。……熱心になにを見てるのよ」
アムロ「ん……旧世紀のテレビ番組……」
フラウ「なぁに、アニメ?」
アムロ「この主人公がすっごいイライラするヤツでさぁ」
フラウ「ふーん」
アムロ「ロボットの操縦を任されてるヤツなんだけど、自意識過剰で、イジイジしちゃって」
フラウ「キリスト教の話なの? 使徒とか云ってるけど……」
アムロ「こんな主人公に地球の未来を任せるなッての! ぼくのほうがよっぽどうまく操縦できるよ!」
ほのぼのオリジン……
通信士「大尉、ノーマルスーツを着用してください!」
ドレン「ばかッ、指揮官がまっさきにノーマルスーツを着られるかよ!」
通信士「しかし……」
ドレン「兵士たちをおびえさせてどうする……」
通信士「では……せめて下着を着用なさってください……」
ほのぼのオリジン……
セイラ「どうかなさって?」
ミライ「……え」
セイラ「フォークをもったまま、ぼーっとしちゃって」
ミライ「あ……ああ」
セイラ「ぜんぜんランチが進んでないじゃない」
ミライ「最近、食欲がなくて……よかったら私の分も召し上がる?」
セイラ「けっこうよ」
ミライ「はぁ〜……」
セイラ「悩み多きため息、って様子ね」
ミライ「わかる?」
セイラ「わかるわよ。いつだって、わがままにつきあわされるのは男でなくて、女のほうなのよね」
ミライ「そうそう!」
セイラ「ブライトも、なにを考えているのだか……」
ミライ「ブライト?」
セイラ「いつまであなたに個室を与えず、ブリッジで毛布一枚で寝かすつもりかしら?」
ミライ「あ……ああ、それね……」
セイラ「あんなんじゃ寝た気になれなくって? 疲れもとれないでしょうし」
ミライ「まあ、そうだけれど……」
セイラ「もっと強硬にプライバシーを要求するべきよ。あの艦長、鈍感きわまりないから」
ミライ「ええっと、セイラ、私が悩んでいるのは寝不足のせいじゃなくて……」
セイラ「あら、失礼……そうよね、女ですものね、私たち……危険な男に魅力を感じてしまうのは」
ミライ「そうッそう!」
セイラ「あなたまでシャアが気になってしかたないとは……」
ミライ「シャア?」
セイラ「最近、妙に勘が鋭くて……あの男がWBに近づいてくるのがたまにわかるの」
ミライ「んー、その感覚はなんとなく共感できるとはいうものの……」
セイラ「たしかに見目は良いものね……ジオンとはいえ」
ミライ「素顔を見たことがあって?」
セイラ「あッ、イヤ……」
ほのぼのオリジン……
ミライ「パパ、もっと急いで歩けなくて? シャトルの時間が迫ってるわよ」
ヤシマ「あ……ああ……」
ミライ「なんなの、さっきから浮かない顔して。また良心ってものをいじくり回してるワケ?」
ヤシマ「だってなァ、あんなにヒドい怪我だとは思わなかったから……ドン・テアボロ氏」
ミライ「生かさず殺さず。予定通りよ」
ヤシマ「今回の襲撃をすっかりザビ家のしわざだと思いこんでる……」
ミライ「いいお芝居だったわね、パパ。彼らがテキサスコロニーにうつるのも時間の問題だわ」
ヤシマ「なあ、こんな計画がうまく行くだろうか。パパにはそう思えないンだが……」
ミライ「大丈夫よ。そのためにあの少年を探し出したんじゃない」
ヤシマ「太陽系でもっともキャスバルにそっくりな少年ね……」
ミライ「家族ごとテキサスに住まわせて、もう三年。頃合いだわ」
ヤシマ「すっかり田舎育ちのカッペになってはないか?」
ミライ「ジオニズムに薫陶するのは順調だし、士官学校への裏口もこじ開けてある」
ヤシマ「エサの準備は抜かりなしってか……しかし、当のキャスバル・ダイクンが食いつくだろうか?」
ミライ「食いついてもらわないと困るわ」
ヤシマ「ジオン・ダイクンの遺児は、ジオン・ダイクンの野望を受け継ぐか……」
ミライ「さもなくば戦争は望めないし、戦争特需なくしてはヤシマ重工の繁栄もおぼつかない」
ヤシマ「うーん……」
ミライ「なによ」
ヤシマ「しかしなぁ、パパとしては、やっぱり軍需から手をひきたいんだけどな……」
ミライ「やめてよ、もうその話は! 何度も議論したでしょう」
ヤシマ「そうだけどさぁ。……ミライ、おまえはどんどんママに似てくるな」
ミライ「あんな虚栄心と自己満足だけの女と一緒にされたら迷惑よ」
ヤシマ「そんな風に云うもんじゃないよ」
ミライ「だってこのあいだなんて、お見合いを勧めてきたのよ! 趣味の悪い高級官僚!」
ヤシマ「その話は、パパも賛成なんだけどな……」
ミライ「わたしはあくまでパパの秘書として、ヤシマ重工を影から支えていきたいの。おわかり?」
ヤシマ「……」
ミライ(パパも白髪が増えたわね……そろそろ事故かなにかで亡くなっていただこうかしら……)
ほのぼのオリジン……
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