ミライ「パパ、もっと急いで歩けなくて? シャトルの時間が迫ってるわよ」
ヤシマ「あ……ああ……」
ミライ「なんなの、さっきから浮かない顔して。また良心ってものをいじくり回してるワケ?」
ヤシマ「だってなァ、あんなにヒドい怪我だとは思わなかったから……ドン・テアボロ氏」
ミライ「生かさず殺さず。予定通りよ」
ヤシマ「今回の襲撃をすっかりザビ家のしわざだと思いこんでる……」
ミライ「いいお芝居だったわね、パパ。彼らがテキサスコロニーにうつるのも時間の問題だわ」
ヤシマ「なあ、こんな計画がうまく行くだろうか。パパにはそう思えないンだが……」
ミライ「大丈夫よ。そのためにあの少年を探し出したんじゃない」
ヤシマ「太陽系でもっともキャスバルにそっくりな少年ね……」
ミライ「家族ごとテキサスに住まわせて、もう三年。頃合いだわ」
ヤシマ「すっかり田舎育ちのカッペになってはないか?」
ミライ「ジオニズムに薫陶するのは順調だし、士官学校への裏口もこじ開けてある」
ヤシマ「エサの準備は抜かりなしってか……しかし、当のキャスバル・ダイクンが食いつくだろうか?」
ミライ「食いついてもらわないと困るわ」
ヤシマ「ジオン・ダイクンの遺児は、ジオン・ダイクンの野望を受け継ぐか……」
ミライ「さもなくば戦争は望めないし、戦争特需なくしてはヤシマ重工の繁栄もおぼつかない」
ヤシマ「うーん……」
ミライ「なによ」
ヤシマ「しかしなぁ、パパとしては、やっぱり軍需から手をひきたいんだけどな……」
ミライ「やめてよ、もうその話は! 何度も議論したでしょう」
ヤシマ「そうだけどさぁ。……ミライ、おまえはどんどんママに似てくるな」
ミライ「あんな虚栄心と自己満足だけの女と一緒にされたら迷惑よ」
ヤシマ「そんな風に云うもんじゃないよ」
ミライ「だってこのあいだなんて、お見合いを勧めてきたのよ! 趣味の悪い高級官僚!」
ヤシマ「その話は、パパも賛成なんだけどな……」
ミライ「わたしはあくまでパパの秘書として、ヤシマ重工を影から支えていきたいの。おわかり?」
ヤシマ「……」
ミライ(パパも白髪が増えたわね……そろそろ事故かなにかで亡くなっていただこうかしら……)
ほのぼのオリジン……
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