「おーおーえークーン! あーそーぼー!」
大江「だ、だれだ? 窓のそとでバンシーみたいな声をあげているのは」
加茂「にゃっほー。わたしらだよ」
三輪「おっはー、ゆかりちゃん」
大江「先輩がた! なんの用ですか」
加茂「なんの用とはごあいさつだな。書道部で呼びにきたに決まってるだろ」
大江「だって春休みですよ! きのう終業式だったでしょう。ぼくセンバツ見てるんですけど」
三輪「新入生を勧誘するためのカンバンつくったり、揮毫の練習をするのよ」
加茂「書道部に春休みなんてモノが存在すると思ったら大間違いだ!」
大江「夏休みもツブされたし……冬休みも二年参りや書き初めで動員されましたよね……」
三輪「もー。グチグチ引きこもってないで外に出てきなさいよ。いい天気よ」
加茂「柔道部の練習終わったら、望月もくるってよ!」
大江「行きます! すぐ行きます!」
大江「お待たせしました、はあはあ……」
加茂「慌てすぎだよ。ハミガキの泡がクチについてるぞ」
三輪「いいよいいよ。日野ちゃんが待ってるし、さっ、行こう」
大江「……先輩。さっき揮毫するって云いましたよね」
加茂「おう。やったるでー」
大江「去年ってたしか青春アミーゴでしたよね」
三輪「……そうだったっけ?」
大江「そうですよ。ボクと望月さんはそれを見て書道に目覚めたんですから! ……たしか」
加茂「え〜……。そんな古い唄でやったけなぁ?」
大江「今年はどんな唄でいくつもりですか? またピンクレディじゃないですよね」
三輪「いまどきのワカモンにアピールするなら……青山テルマ『そばにいるね』あたり?」
加茂「それっていつの唄? ……去年?」
大江「え……おととしでは?……いつでしたっけ?」
三輪「ていうか……今年って何年?」
加茂「うちらって、いったいいつになったら春休みにたどりつけるワケ……?」
ほのぼのとめはね……
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