望月「あッ、先輩たち! こっちですよ早く早く〜!」
加茂「おう、悪い悪い、待たせたな」
望月「あと五分でエントリー終了だから、急いでくださいッ」
三輪「だって広くて複雑なんだもの、この体育館……思ってたより出場者も多いみたいだしさー」
望月「県下のおもだった女子部はほとんど集まってますからね」
日野「ねえねえ、望月さん、この恰好でおかしくないかしら?」
望月「道衣は女でも右前ですよ! 帯は後ろじゃなくて、前で縛ります……こうやってギュッと!」
日野「あ、ありがと……ちょっと苦しい……」
望月「あと、くれぐれも試合中は眼鏡を外してくださいね」
加茂「なあ、望月、やっぱり毒霧は反則かな?」
望月「ダメに決まってるでしょ! プロレスじゃないンだから!」
日野(こ……怖い……)
三輪「もう〜、望月さんたら書道部のときとテンション変わりすぎ……」
望月「試合前なのに、墨を擦るときみたいにノホホンと落ち着いていられますかッ」
加茂「んなテンパらなくても、望月だったら全部一本勝ちで勝ち抜けるだろー?」
望月「だーかーらー! きょうの県大会は団体戦だって何度云えば」
三輪「体重がうちらの倍もありそうな選手がゴロゴロいるんでしょう……何度も聞いたわよ」
加茂「先輩たちにはケガさせないように、自分が全て倒しますって、お前が云ったンだぞ、望月」
望月「まあ確かに、急にムリなお願いしたのは私ですけれど……」
日野「たいへんよね……大会直前に正規の女子部員がみんな新型インフルエンザで倒れちゃうなんて……」
加茂「柔道部でピンピンしてるの、おまえだけなんだって? あはは」
望月「悪かったですね、健康だけがとりえで」
三輪「ま、書道部として、柔道部のヒゲ顧問に貸しを作っておくのは悪くないコトよね」
望月「……というか、あと一人はまだですか!? 団体戦は五人で戦うンですよ」
加茂「あ、来たみたいだぞ……おーい、ゆかり、こっちこっち!」
大江「シーっ! 先輩、大きな声で呼ばないでくださいよ……」
三輪「誰も男子の名前だなんて思わないわよ、ねっ、ゆかりちゃん(ハート)」
日野「メイクとカツラがすごくお似合いよ大江くん……ぷっ……くっくっくっ……」
大江(ああ……願わくば、きょうは誰とも知り合いに会いませんように……)
一同「じゃあ行くぞー、鈴高書道部! ……じゃなくて柔道部! えいえいおーッ」
ほのぼのとめはね……
加茂「おう、悪い悪い、待たせたな」
望月「あと五分でエントリー終了だから、急いでくださいッ」
三輪「だって広くて複雑なんだもの、この体育館……思ってたより出場者も多いみたいだしさー」
望月「県下のおもだった女子部はほとんど集まってますからね」
日野「ねえねえ、望月さん、この恰好でおかしくないかしら?」
望月「道衣は女でも右前ですよ! 帯は後ろじゃなくて、前で縛ります……こうやってギュッと!」
日野「あ、ありがと……ちょっと苦しい……」
望月「あと、くれぐれも試合中は眼鏡を外してくださいね」
加茂「なあ、望月、やっぱり毒霧は反則かな?」
望月「ダメに決まってるでしょ! プロレスじゃないンだから!」
日野(こ……怖い……)
三輪「もう〜、望月さんたら書道部のときとテンション変わりすぎ……」
望月「試合前なのに、墨を擦るときみたいにノホホンと落ち着いていられますかッ」
加茂「んなテンパらなくても、望月だったら全部一本勝ちで勝ち抜けるだろー?」
望月「だーかーらー! きょうの県大会は団体戦だって何度云えば」
三輪「体重がうちらの倍もありそうな選手がゴロゴロいるんでしょう……何度も聞いたわよ」
加茂「先輩たちにはケガさせないように、自分が全て倒しますって、お前が云ったンだぞ、望月」
望月「まあ確かに、急にムリなお願いしたのは私ですけれど……」
日野「たいへんよね……大会直前に正規の女子部員がみんな新型インフルエンザで倒れちゃうなんて……」
加茂「柔道部でピンピンしてるの、おまえだけなんだって? あはは」
望月「悪かったですね、健康だけがとりえで」
三輪「ま、書道部として、柔道部のヒゲ顧問に貸しを作っておくのは悪くないコトよね」
望月「……というか、あと一人はまだですか!? 団体戦は五人で戦うンですよ」
加茂「あ、来たみたいだぞ……おーい、ゆかり、こっちこっち!」
大江「シーっ! 先輩、大きな声で呼ばないでくださいよ……」
三輪「誰も男子の名前だなんて思わないわよ、ねっ、ゆかりちゃん(ハート)」
日野「メイクとカツラがすごくお似合いよ大江くん……ぷっ……くっくっくっ……」
大江(ああ……願わくば、きょうは誰とも知り合いに会いませんように……)
一同「じゃあ行くぞー、鈴高書道部! ……じゃなくて柔道部! えいえいおーッ」
ほのぼのとめはね……
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望月「ねえねえ、タケシくぅ〜ん↑」
一条「なあに、ユキちゃん」
望月「おら、また教科書忘れちゃったんだゾ。見せれば?」
一条「べつにイイけど……『おら』?」
望月「ランセルド開けたら、またまた空っぽだったんだゾ。あは、あは」
一条「ユキちゃん、なんか今日しゃべり方がヘンじゃない?」
望月「するどい、ばれたか……」
一条「そりゃあ、まぁ……(毎日ユキちゃんのこと見つめてるし……)」
望月「なんでうちの母ちゃんがお便秘三日目だってコトをタケシくんが知ってるんだ」
一条「誰もそんな話してなーいッ」
先生「コラッ! そこのふたり授業中にうるさい!」
一条「……」
望月「もう〜、タケシくんのせいで大鼻くそだゾ」
一条「それをいうなら大目玉でしょ……」
望月「……おおッ、タケシくんのノート、字がお上手ぅ」
一条「お習字はじめたからね……そういうユキちゃんも上手だね……ノートの落書き」
望月「ゾウさんだゾ。いつもお風呂場で父ちゃんとゾウさん踊りしてるんだゾ」
一条「ユキちゃんが!?」
望月「おらも早く父ちゃんみたいにマンモスになりたいゾ」
一条「ムリだと思うけど……」
望月「ふわ〜。ちょっとお昼寝するから、いいかげんタケシくん黙っててよ」
一条「は、はい……」
望月「ぐーぐー……くすくす」
一条(ユキちゃんたら寝ながら笑ってる。かわいいなあ。どんな夢を見てるんだろう?)
望月「タケシくん、お手! チンチン!」
一条「……」
先生「じゃあ、次のページを、望月さん読んでください!」
一条「ヤバいよ、ユキちゃん、起きないと……」
望月「……はっ!? 怪獣が攻めてきた? ケツだけ星人ぶりぶりー!」
一条「ユキちゃん、ダメだってそれだけは!」
合掌……ほのぼのとめはね……
望月「あー、これもカワイイな。……あッ、こっちのブラウスもイイ!」
大江「……」
望月「迷うな〜。うーん」
大江「どっちも似合うと思うけど……」
望月「テキトーなコト云わないで! 予算ってものがあるンだから」
大江「もう二時間も原宿をさまよってるのに、まだ一着も買ってない……」
望月「筆を選ぶのとは違うのッ。一条クンとのデートに着ていく服なんだから」
大江「なんでボクがつきあわされるンだろう……ぶつぶつ」
望月「だって加茂先輩たちに知られるワケにはいかないでしょ? 連中、絶対デートについてくる!」
大江「いや、そういう意味じゃなくて……」
望月「あくまで、男の子から見て、私の女性的魅力が最大限に発揮される服がほしいワケ」
大江「女性的魅力なんて……ボクたちまだ16歳なんだよ」
望月「もう16歳よ」
大江「制服でイイんじゃないかな。高校生らしく」
望月「お父さんみたいなコト云わないで」
大江「よそいきのジャージもってなかったっけ?」
望月「だから、いま着てるのがそれですから」
大江「そうだ、花火のときの浴衣、すごいよかったよ」
望月「いま何月だと思ってンの」
大江「あー、もう、柔道着でイイじゃん。それが一番望月さんらしいよ。なんなら下はブルマでさ」
望月「絞め落とすわよ。……よしッ、コレ試着してくるから待ってて」
大江「えッ! こんな女の子がいっぱいいるお店の、試着室のまえで? ……恥ずかし……」
望月「逃げたら指導だかんね」
大江「……まだー?」
望月「じゃじゃーん! いかがかしら?」
大江「うーん……春をアピールするなら、もっとパステル調でラメが入ったほうがよさそうな……」
望月「へっ?」
大江「ゆる可愛シルエットで女性らしさを……したはマーメイドスカートでエレガントに……」
望月「なぜに的確……」
ほのぼのとめはね……
大江「……」
望月「迷うな〜。うーん」
大江「どっちも似合うと思うけど……」
望月「テキトーなコト云わないで! 予算ってものがあるンだから」
大江「もう二時間も原宿をさまよってるのに、まだ一着も買ってない……」
望月「筆を選ぶのとは違うのッ。一条クンとのデートに着ていく服なんだから」
大江「なんでボクがつきあわされるンだろう……ぶつぶつ」
望月「だって加茂先輩たちに知られるワケにはいかないでしょ? 連中、絶対デートについてくる!」
大江「いや、そういう意味じゃなくて……」
望月「あくまで、男の子から見て、私の女性的魅力が最大限に発揮される服がほしいワケ」
大江「女性的魅力なんて……ボクたちまだ16歳なんだよ」
望月「もう16歳よ」
大江「制服でイイんじゃないかな。高校生らしく」
望月「お父さんみたいなコト云わないで」
大江「よそいきのジャージもってなかったっけ?」
望月「だから、いま着てるのがそれですから」
大江「そうだ、花火のときの浴衣、すごいよかったよ」
望月「いま何月だと思ってンの」
大江「あー、もう、柔道着でイイじゃん。それが一番望月さんらしいよ。なんなら下はブルマでさ」
望月「絞め落とすわよ。……よしッ、コレ試着してくるから待ってて」
大江「えッ! こんな女の子がいっぱいいるお店の、試着室のまえで? ……恥ずかし……」
望月「逃げたら指導だかんね」
大江「……まだー?」
望月「じゃじゃーん! いかがかしら?」
大江「うーん……春をアピールするなら、もっとパステル調でラメが入ったほうがよさそうな……」
望月「へっ?」
大江「ゆる可愛シルエットで女性らしさを……したはマーメイドスカートでエレガントに……」
望月「なぜに的確……」
ほのぼのとめはね……
がしゃーん!
望月「うあっちっち!」
宮田「ちょッ、だいじょうぶ?」
望月「あーあ。やっちゃった。チョコこぼしちゃった」
宮田「だから湯せんのときは気をつけてって云ったのに……またイチからやり直しじゃーん」
望月「しーましぇーん。不器用な生徒で。えへへ」
宮田「最初にも云ったけどさ、売ってるチョコを渡したほうのがてっとり早くね?」
望月「それは……彼もはるばる大分から来てくれるわけだし……こちらとしても気合いをいれなければ」
宮田「やはり、そんなイケメンなわけ? 出張組の報告によれば」
望月「わざわざ二月のこんな日曜日を狙って来るぐらいだから、むこうも期待してるだろうしね……」
宮田「そっちの先輩がたにアドバイス願えばよかったのに。鈴高キャッツアイ」
望月「無理ッ! あの人たち、ぜったいチョコを手渡す現場までついてきちゃうから!」
宮田「だからって宮田庵の門を叩かなくても……うちパティシエじゃなくてソバ屋なんですけど」
望月「あはは! でも、麻衣ちゃんならきっとカワイイのの作り方を知ってると思って」
宮田「それはまあ……あたしも手作りするつもりだったし、べつに邪魔じゃないけどさ」
望月「誰にあげンの?」
宮田「えッ!?」
望月「勅使河原くん?」
宮田「……違うけど……」
望月「えー。もっとほかのイイ男がいるってコトか。麻衣ちゃんも隅に置けないね、ひゅーひゅー!」
宮田(本気で云ってンのか、こいつ……)
望月「墨には置けません! 書道部なだけに! なんちて!」
宮田「……えーと、作業を再開しましょうか」
望月「そうだね。……あー! そういえば大江くんのこと忘れてた!」
宮田(どきッ)
望月「でもまあ、どうせ義理だし、日曜だし、わざわざ作らなくてもイイか……」
宮田「ちょ、ダメだよ! しっかり手作りってアピールして渡さないと。同じ書道部員なんだからッ」
望月「そうなん? えっ、トリュフってこれ入れるの? 塩って書いてあるけど……」
宮田「カナダのバレンタインはそうなんだってさ! はい、ドバドバ入れて!」
ほのぼのとめはね……
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